「死ぬ瞬間の5つの後悔」の著者ブロニーウェア
本書の著者はブロニーウェアというオーストラリア出身の介護士です。
著者は末期の患者を診ることが多かったようで、本書は末期の患者から聞いた話と、
著者の体験談などをもとに死ぬ瞬間の後悔について著されている本です。
本書は死が迫っている5人の人から聞いた後悔を著者であるブロニーが
記録したものです。
本書を読んで、いずれくる「死」に対して
後悔をしないためにはどうすればいいのかを考えさせられました。
これから本書を簡単に紹介します。
1.自分に正直な人生を送ればよかった
グレースは結婚してから50年以上、周囲に求められる行動をし続けていました。
結婚をして子供を育て上げて、10代の孫たちの顔を見ること喜びを感じていました。
けれども、夫がかなりの暴君でグレースの結婚生活はかなりつらいものになっていた。
だからこそ夫が終身の老人ホームに入ることを承諾した際は喜びを感じました。
結婚してからずっと、夫から離れて旅行に行くことや、指図をされずにシンプルな生活をすることにグレースは夢を見ていました。
けれどそんな新生活が始まった際に、グレースはひどく体調を崩してしまいます。
グレースをさらに苦しめたのが、体調を崩した理由は夫が長年吸い続けてきた
たばこの副流煙だったことです。
結婚してから、ずっと夫に人生を振り回されてしまったのです。
その時、グレースは後悔しました。
「私は、どうしてやりたいことをやらなかったのかしら。どうして夫をのさぼらせてしまったのかしら。どうしてもっと強くなれなかったのかしら」と・・
グレースの寝室には子供の写真や家族の写真が飾られているので、
結婚をしたくなかったわけではありませんでした。
間違えていたのは
一度結婚したら離婚してはいけない、ということを教えられていたことです。
グレースは家族のレールから外れ、軽蔑されるのことが怖かったのです。
そしてブロニーにこのような言葉をかけます。
「どんな時でも自分に正直でいること、他人に何を言われようとも自分の望み通りに自由に生きる勇気を失わないことを」
私たちは現代社会に生きている上で、周りの目や評価を気にしすぎて
本当に自分が行きたい道を歩むことができていないのかもしれません。
周りの目を気にして生きていけば、死ぬ前に後悔が襲ってくるかもしれません。
2.働きすぎなければよかった
ジョンは仕事で成功をおさめ、社会的な地位も確立していました。
妻のマーガレットと5人の子供を育て上げ、今ではそのうちの4人に孫がいる。
そんな素晴らしいとも思えるジョンがブロニーにこのようなことを言いました。
「ブロニー、私はあんなに働くんじゃなかったよ。なんて愚かな馬鹿者だったんだ」と。
子供たちが成人し、巣立っていったのちにマーガレットはジョンに仕事を引退してほしいといいました。
二人とも健康で元気で、豊かな引退生活を送るのに十分なお金がありましたが
ジョンは「もっとお金が必要になるかもしれない」と、仕事を続けました。
それに対してマーガレットは「広い家を売って、二人きりの生活に家を買えばお金が浮くわ」と応じていました。
ですが結局、ジョンは仕事を辞めなかったので、このやり取りは15年間繰り返されました。
そんなある日マーガレットは、ジョンと二人で旅行に行くことを提案しました。
ジョンももっと旅をしたいと思っていたので、マーガレットの提案には賛成していました。
けれどもジョンは仕事上の地位を確立し満喫していました。
仕事そのものというより、仕事のおかげで世間や友人たちの間で高い地位に入れることが好きでした。
ある夜、マーガレットは泣きながら引退してほしいとジョンに訴えました。
そんな美しいマーガレットを見て、ジョンは二人ともとても歳をとってしまい二人は永遠には生きていけないと感じ、
この時ジョンは引退を決意しました
しかし、ジョンは1年後という条件を付けました。どうしても見届けたい大仕事があったからです。
マーガレットは待ち続けました。
ですが引退をすると宣言して、4か月後、マーガレットは体調を崩し、余命はいくばくもありませんでした。
旅行に行くという夢はかなわないままマーガレットは亡くなりました。
その時、ジョンは後悔しました。
「私は人生で本当に自分を支えてくれたものに十分な時間を費やさなかった。マーガレットと家族、そう大切なマーガレットに。」
「私は怖かったのだと思う。そう、怖かったんだ。怯えていたんだ。我々はなぜ、物質的な成功で自分の価値を図ろうとするのだろう」
と言っています。
ジョンは自分の社会的地位を失うのが怖くて、大切な人との時間を取ろうとしませんでした。。
私たちは仕事だけでなく、大切な人との時間を過ごす時間も作らなければ、
働きすぎの人生に後悔することになるのかもしれません。
3.思い切って自分の気持ちを伝えればよかった
ジョセフは不治の病を持っている97歳の男性。
ジョセフはもともとドイツの強制収容所からオーストリアに逃亡した経験があります。
今の時代では考えられないような経験です。
しかし、その話は家族や友人には語りませんでした。
悲しい過去などを語っても意味がないと思ったのです。
その代わり、ジョセフはお金の価値や稼ぎ方を教えました。
そしてひたすら家族のために働き、家族を養いました。
何ヵ月も帰らず、ひたすら働きました。
ある日、ジョセフの息子はお見舞いに来ました。
しかし息子はジョセフに会いたくて来たわけではなく、ジョセフのお金に興味があって来ました。
それは仕方のなかったことなのです。
なぜなら彼は家族にもお金の価値や大切さを教え続けてきたからです。
ブロニーはジョセフにこう言いました。
「あなたはやり遂げたんですよ。ご家族が不自由なく暮らせるようにしてあげた。そうしてあげたかったんでしょう。」
それに対してジョセフは
「けれども家族は、私がどんな人間か知らない。知ってほしいのに・・」
といって大粒の涙を流しました。
ジョセフはどんな人間なのか、自分がどんな思いなのかを家族に知ってほしかったのです。
私たちも自分の気持ちを大切な人に伝えられないことがあると思います。
伝えられないままでいるのは死ぬ前に後悔をすることになるかもしれません。
4.友人と連絡を取り続ければよかった
ドリスという女性は寂しくて仕方がなかった。
ドリスの一人娘は日本に住んでいてもうそれほど親しくなかったそうです。
娘とは言い合いをしたわけでも気持ちがすれ違っているわけでもなく
ただ、一人娘は忙しい日々を過ごしているそうだ。
ドリスはそのことは仕方がないと考えていました。
そんななかでドリスは
「一番寂しいのは友達に会えないことね。もう亡くなった人もいる。私と同じ状況の人もいるわ。連絡が取れなくなってしまった人もいるし。ずっと連絡をとっていればよかったのよね。友達はいつもそこにいてくれるとみな思っているでしょう。けれどいつのまにか、周りには自分を分かってくれる人も、自分のこれまでの人生を知っている人もいなくなってしまうのよ」と言った。
それに対してブロニーはインターネットを教え、ドリスの友人に会わせると約束した。
次の日からブロニーはドリスの友人4人を探し回りました。
そしてついにロレーヌという友人にたどり着くことができました。
ブロニーはそのことをすぐにドリスに伝えると、ドリスは大喜びでブロニーに抱きつきました。それほど嬉しかったのです。
ドリスすぐにはロレーヌに電話をしました。
受話器を握っていたドリスは友人の声を聞き顔を輝かせました。
ドリスの声もロレーヌの声も老いていましたが、電話の両側で2人とも若い娘に戻りました。
すぐに2人は笑さざめき、とめどないおしゃべりが始まりました。
ブロニーが部屋から出て行こうとすると、ドリスは
「ありがとう、ブロニー」と言いました。
その後、彼女は亡くなりましたが
素晴らしい最期でした。
余命が短く、ひとりぼっちだった老人が
最期の人生を友人と過ごすことができました。
死ぬ前に後悔しないためにも、友人と連絡を取り続けることは大切なことなのかもしれません。
.幸せを諦めなければよかった
ローズマリーは女性がまだ責任のある立場につくことなどできなかった頃に昇進を重ねました。
けれどもそれより前は彼女にも、
当時の社会が女性に求める通りに生きていた時代があり、若く結婚していました。
不幸なことにこの結婚で、肉体的にも精神的にも虐待を受けていました。
ある時、暴力を振るわれて瀕死の状態になり、離婚を決意しました。
当時、離婚はスキャンダルと思われていた時代で、
ローズマリーの家は名家だったため町を離れなければなりませんでした。
生活に追われた彼女は心を閉ざし、考え方も頑なになりました。
彼女は強い意志を持って知能指数を生かして激務をこなし
ついに女性としてはその州で初めて、経営側の高い地位につくことが出来ました。
そんな、人の上に立ったローズマリーは威圧的な態度でヘルパーを従えました。
ブロニーが来るまで次々とヘルパーをクビにしてきました。
ブロニーはローズマリーが感情の爆発が収まるまでなにも言わず待っていました。
ある日、ローズマリーはブロニーにこう言います。
「どうしてあなたは幸せそうなの?あなたはいつも幸せそうにハミングをして気に触る。私がどうしても惨めな気持ちになってしまう」と。
ブロニーは
「自分で幸せに感じるようにしているのですよ。私は毎日幸せになろうとしています。辛い日もあります。あなただけでなく私も大変な思いをしています。でもそれで辛いと考えるのではなく、毎日できる限りいいことがあったと考えて、それに対して感謝をしている」と。
それでもローズマリーは「幸せにはなりたいけどどうすればいいか分からない」と言いました。
そこでブロニーはこのような提案をします。
「まずは、30分だけ幸せなふりをしてみたらどうでしょう。きっと楽しくて幸せになれるかも。しかめツラをしたり、文句を言ったり、なにか否定的なことを言うのを30分でいいので、やめてください。その代わり、何か素敵なことを言い、必要なら庭の景色を眺めてみたりしてください。いつも微笑みを絶やさないようにね。」と。
ローズマリーは最初こそためらっていましたが、幸せになってもいいと思えるようになり、
日ごとに警戒心が薄れました。やがて笑顔を頻繁に見せるようになり、最後にはときどき声をあげて笑うようになりました。
そんなある日、ローズマリーは
「私、もっと幸せに過ごせばよかった。なんて惨めな人生だったのかしら。幸せになる資格なんて、私にはないと思っていたのよ。けれど、そんなことはない。それが分かったの。今朝、あなたと一緒に笑っていたら、幸せを感じても罪悪感を持つ必要なんて無かったんだって分かったの」
と言いました。
彼女は数人の友人に看取られて亡くなりました。
ローズマリーは幸せになるには努力をし無ければならないことを最後に知りました。
私たちも辛いことや悲しいことがあっても笑顔でいる時間を作ることで
幸せになれるかもしれません。
ブロニーウェアさんの写真の引用:https://amzn.to/38aAkeY